見えていなかったのは、私の方だった。(2026年_5月号)

川上鉄工所メルマガ_2026年_5月号

はじめに

いつも大変お世話になっております。
株式会社川上鉄工所の川上朋弘です。

このメールはお世話になっている方々に近況報告をお送りするメールです。
ご不要の場合は大変お手数ですが文末の配信解除URLから解除をお願いいたします。

4月のメルマガへのご返信、ありがとうございました。
返信文を拝読し、「伝承の形は一つではない」ということに気付くことができました。

正論と正論がぶつかる

少し前のことです。

当社の製造部には、鍛造・検査・金型・設備保全の4つの部門があります。それぞれが自分の工程を担い、日々の仕事を進めています。

あるとき、鍛造担当が金型担当に声をかけました。
「来月の受注が前倒しになりそうです。金型の準備を早めれる?」

帰ってきた言葉は、
「この前は違う製品も急ぐと言われ、結局どっちを急ぐんですか?」

質問に質問で返す会話。

鍛造側には鍛造側の段取りがあり、
金型側には金型側の準備がある。
お互いが自分の工程を全うしようとしている。

このやり取りを聞きながら、内心「またか」と思っていました。正論と正論がぶつかる。いつものやつだ、と。

考えてみれば、計画は知るべき人だけで作っていた。現場の全員が見える場所にはなかった。

見えていないだけ

「受注が早まる」は、ビジネスではよくある出来事です。それを無理難題と感じてしまうのは、受け止める体制が整っていないからかもしれない。でも、そうなった経緯を知らなければ、現場にはただの突然の出来事にしか聞こえない。

鍛造側も、金型の準備にどれだけの工程があるかを知らなければ、
「なぜそんなに時間がかかるのか」と感じてしまう。

予定表を、貼り出した

なんやかんやで悩んでいた時、同業他社を訪問する機会がありました。計画表の前に各部門の責任者が集まり、進捗を見ながら話し合っている。その光景を見て、「これだ」と思いました。

部門の責任者が集まって話し合うスタイルも考えました。でも、まずは現場に貼り出して書き込むスタイルにしました。

1ヶ月の鍛造予定表を作り、現場に貼り出しました。
そして、1日の終わりに各部門が進捗を書き込む仕組みにしました。

鍛造した数量はその日の帰りに書いて帰ること。書くタイミングと書く人を決めたことが、続いている理由のひとつかもしれません。

すると1週間ほど経ったころ、少し雰囲気が変わりました。

「今日、○○型の加工が終わりました」
「△△の材料が入荷しました」

そういった情報が、貼り出した紙に書かれるようになりました。
誰が動いていて、何が進んでいるか。全員が、知れるようになりました。

記録と、書くことの意味

記入された内容を見て、1日の生産量と売上を計算して私も記入しています。計画通りか、どの数字を現場は必要としているのかなどを考えるきっかけになっています。

この取り組みを始めたとき、「日報と内容が重複しませんか」と聞かれました。

確かに、同じ内容を二か所に書くことになるかもしれません。

でも、日報は「記録」です。あとで読み返すためのもの。

予定表への書き込みは、少し意味が違う。

皆が見ている場所に、今日自分が何をしたかを書く。
その行為に意味を持たせる。

おわりに

部門間のぶつかり合いは、悪意から起きることは少ない。
多くの場合、お互いが「見えていない」だけです。

見えるようにする方法は、システムでなくてもいい。
予定表を貼って、進捗を書く。それだけで変わることがあります。

皆さんの職場の進捗管理のやり方や、「正論と正論がぶつかっている」と感じた瞬間があれば、よろしければ教えていただけると嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、メールさせていただきます。

川上鉄工所の93年の歴史と取り組みについては、会社概要をご覧ください。

川上朋弘のプロフィール画像

記事を書いた人:川上 朋弘

(株)川上鉄工所 代表取締役

2007年(株)川上鉄工所入社、2022年代表取締役就任。
金型設計の奥深さに�せられ、鍛造現場の職人たちの卓越した技術に感銘を受ける。
「アイディアを形にする鍛造の魅力」をより多くの人に伝えたいという想いから、情報発信を続けている。

保有資格:1級一般熱処理技能士