認識の落とし穴(2025年_9月号)
川上鉄工所メルマガ_2025年_9月号
はじめに
いつも大変お世話になっております。
株式会社川上鉄工所の川上朋弘です。
8月のメルマガへの多くのご返信、
ありがとうございました。
前月の期待と感情をコントロールするでは、
多くの方から共感のお声をいただきました。
「期待と感情」というテーマが、皆様の現場でも
共通の課題であることを改めて実感しました。
さて、今月は最近社内で気づいた出来事から、
私自身が改めて感じたことについて共有させてください。
製造業で働く私たちにとって、
資格取得は技術力向上の重要な節目です。
資格取得後に起きた変化
先月、検査担当者が非破壊試験技術者の
資格試験に合格しました。
合格が決まった時の彼は、
安堵と自信が入り混じった表情でした。
私自身も嬉しかったし、とても頼もしく感じました。
ところが数週間後、彼のちょっとした変化に
気がつきました。
「後輩はもっと真剣に取り組むべきだ」
「先輩のやり方は古いのでは」
彼のそうした批判的な発言を以前より頻繁に
耳にするようになったのです。
ダニング=クルーガー効果とは
彼のそうした気持ちは資格を取る前から
心の奥にあったように思われます。
それが、資格を取得したことで
「自分は正しい知識を身につけた」という自信につながり、
それまで心の中に留めていた不満や批判を表に出す
きっかけになってしまったのかもしれません。
彼の様子を見ていて、思い出したのは私自身のことです。
入社2年後に、技能検定に合格した時は
全く同じことをしていたように思います。
「なぜもっと効率的にやらないんだ」と、
周りの人たちに対して批判的な気持ちを抱いていました。
知識を少し身につけると、自分はすべてを
知っていると勘違いしてしまう。
そんな「認識の落とし穴」を心理学では
「ダニング=クルーガー効果」と呼ぶそうです。
これは知識を少し学んだ人が分かった気になって、
自信過剰になり、知識や経験がもっと増えると、
自分の限界や未知の領域の広さを自覚し、
むしろ謙虚になるという現象を指すそうです。
私自身も経験した「認識の落とし穴」
私も資格を取った瞬間、世界が変わったような気が
しましたが、現実は違いました。
知らないことは当然あって、上には上がいる。
資格を取得しても世界は変わらない。
そんな事実を、長い時間をかけて気づかされました。
知識を「協力の道具」に変えるために
資格試験で自信を持つことは素晴らしいことです。
しかし学んだことを成果につなげるためには
周りの人の協力が必要です。
一方的な批判から協力は生まれません。
せっかく手にした知識を活かすには
周りの人の協力を引き出してどう巻き込んでいくか。
そんな視点や工夫も必要です。
彼には、私が昔、時間をかけて気づかされたように、
自然に気づいてもらえるようなきっかけを
作っていきたいと考えています。
まず、彼の話をじっくり聞いてみようと思います。
組織の成長につなげる視点
今回の出来事から、改めて気づかされたことがあります。
それは、新しい知識は、誰かを批判するための武器ではなく、
仲間と協力するための道具だということです。
そして、資格という「個人の成果」を「組織全体の成果」に
どう活かすかという視点を持つことが組織の成長に
不可欠だと強く感じました。
組織全体の成果につなげる取り組みについては、
品質管理の取り組み|ISO9001認証取得への道のりもご参照ください。
皆様へのご質問
皆様の職場では、資格取得後の人間関係の変化は
ありませんか。
もしよろしければ、皆様のご経験やお考えも
お聞かせいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また、メールさせていただきます。
川上鉄工所の93年の歴史と取り組みについては、会社概要をご覧ください。
