期待と感情(2025年_8月号)

川上鉄工所メルマガ_2025年_8月号

はじめに

いつも大変お世話になっております。
株式会社川上鉄工所の川上朋弘です。

7月のメルマガには多くのご返信をいただき、
「妥当性の確認」というテーマが皆様の現場でも
共通の課題であることを改めて実感しました。

ところで、経営をしていると「期待通りに人が動かない」
場面にしばしば直面します。

今月は、そんな場面で私自身が気づかされた
「期待と感情」について共有させてください。

先日の品質会議の後、課長と話をしていたときのことです。

品質会議で起きた出来事

課長はこう言いました。

「会議の15分前から現場の社員が準備を始めている。
ギリギリまで仕事をしてほしいのですが…」

私も内心「なぜそんなに早く仕事を切り上げるのだろう?」
と感じました。

さらに課長は「会議中も発言しないなら、
出席しても意味がない」とまで言います。

確かにそうかもしれない、と私も一瞬思いました。
けれども、どこか引っかかる…。

話の中で、
「明日、会議の内容をメンバーに確認してみよう」と
なりました。

翌日、課長が聞いてみると…

確認してわかった事実

全員が内容をきちんと覚えていたのです。

発言はなくとも、しっかり聞き、理解していたのです。
このとき気づきました。

期待が裏切られると感情が先立つ

問題は、社員の会議への参加姿勢ではなく、
目に見える社員の行動が私たちの期待値と違っていたこと
による、私たちの感情にあったのです。

15分前に仕事を切り上げていた。
会議中、発言がない。
そのような目に見える言動から

やる気がないのではないか、
理解していないのではないかと
つい決めつけてしまっていたのです。

ある経営者から教わった言葉があります。
「期待が裏切られると、感情が先に立ち、判断を誤る」
まさにその通りでした。

人は期待する生き物

「もっと働いてほしい」
「もっと積極的に会議に参加してほしい。発言してほしい」

人は期待する生き物です。
知らず知らず、自分以外の周りの人全員に
「もっとこうしてほしい」と常に期待しています。

期待は相手の成長を信じる気持ちでもあるので
期待自体が間違いであるとは思いません。

とは言え、人は常に期待通りに動いてくれる訳ではない。
そのときに「裏切られた」と感じて落胆するか。

なぜ、そういう言動なんだろう?と
言動の背景を理解しようとするか。

それによって次の行動や判断は大きく
違ってきます。

経営判断で大切にしたいこと

今回の出来事から学んだことは、
・自分の期待や感情に自覚的になること。
・そこで短絡的に判断するのではなく、
相手の言動の背景や事実を確認すること。
この2つの大切さです。

この小さな習慣が、誤解や行き違いや無用な対立を
防いでくれるのだと実感しました。

経営は判断の連続です。
だからこそ、事実や背景を確認し、
自分の感情に振り回されないこと。

事実や背景を確認して判断すること。
これが私自身、改めて大切にしたい学びでした。

皆様へのご質問

皆様は、このような「期待と感情」が判断に及ぼす影響について、
どのようにコントロールされていますか。

もしよろしければ、皆様のご経験もお聞かせいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、メールさせていただきます。

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川上朋弘のプロフィール画像

記事を書いた人:川上 朋弘

(株)川上鉄工所 代表取締役

2007年(株)川上鉄工所入社、2022年代表取締役就任。
金型設計の奥深さに魅せられ、鍛造現場の職人たちの卓越した技術に感銘を受ける。
「アイディアを形にする鍛造の魅力」をより多くの人に伝えたいという想いから、情報発信を続けている。

保有資格:1級一般熱処理技能士