挫折と挑戦(2024年_9月号)

川上鉄工所メルマガ_2024年_9月号

いつもお世話になっております。
川上鉄工所の川上朋弘です。

日頃お世話になっている方々に近況報告の
趣旨でメールをさせていただいています。

突然ですが、「サポイン」という国の制度を
ご存じでしょうか。

正式名称は「戦略的基盤技術高度化支援事業」
と言います。

(今は「Go-Tech事業:成長型中小企業等研究
開発支援事業」という制度に統合されています)

こちらからご参照頂けます。

これは、中小企業が大学・公設試等の研究機関等
と連携して行う研究開発等の取り組みを最大3年間
国が支援する事業です。

川上鉄工所は、このサポイン事業を活用して
「スマート鍛造プロセス」の技術開発を
行いました。

サポイン事業で技術開発を行ったのは、
2009年からの3年間なので、今から10年以上前
のお話です。

この「スマート鍛造プロセス」の技術開発の
発端は、自動車部品において、原価低減の
要求を受けた事が始まりでした。

2005年頃のお話です。

この原価低減要求に対応する方法を模索し
熱処理工程を内製化し、かつ複数工程を
集約できないか。

そう考えた事が開発の始まりでした。

2005年からのお話なので、20年に及ぶ
取り組みという事になります。

当初は、自前の設備を改造して、
試作と実験をくり返していました。

「できるかも…」という手応えを感じる
一方で、予算や労力、検証などの課題もあり

自社単独で、進めるのは困難と感じるように
なりました。

また、生産設備の稼働を停めての実験は、
「納期が遅れる」、
「勝手に一人でやってる」

などと社内で受けとめられ、社内の理解も
なかなか得られませんでした。

サポイン事業に採択されて以降は、
大学との連携や技術的なサポートを得ることで

「スマート鍛造プロセス」の開発は大きく
前進していきました。

他の成果もありました。

それは、サポイン事業という国の事業に採択
されたことで、社内の理解が進み、

新しいことに挑戦する気風が生まれたことです。

社内に一人また一人と協力者が増え、
「スマート鍛造プロセス」という言葉が
社内に広がっていきました。

「スマート鍛造プロセス」とは、
「新しい技術による新しい試みのことだ」

という認識が社内で共有化され、
新しいことに挑戦する気風が醸成されていきました。

私たちがサポインの取り組みから得られた教訓は、
技術開発は時間がかかる上に、持続的な努力と
外部との連携が必須であるという点です。

開発した技術が即座に採用され、
利益を生むわけではありません。

しかし一方で、長期的な視野に立つと、
新たな技術開発から新たな市場開拓や

製品開発の機会が広がることは
紛れもない事実です。

なので、新たな技術開発は、製造業として
必須の取り組みであると感じています。

川上鉄工所では、今後も技術の進化に向けて
不断の取り組みを続けていく所存です。

最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

サポイン事業で「スマート鍛造プロセス」の
技術開発に取り組んだ件については、
以下に詳細を書かせていただきました。

「産官学連携による新工法開発への挑戦-川上鉄工所の「スマート鍛造プロセス」開発の軌跡」

お読みいただけると嬉しいです。
また、メールさせていただきます。