鍛造とは?鋳造とは?鍛造でチタンの板材を製作できます

金属の加工方法として、代表的なものに鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)があります。鍛造と鋳造の違い、イメージできるでしょうか?鍛造には鍛造のメリット、鋳造には鋳造のメリットがあります。

それぞれのメリット、デメリットを把握して、適切な加工方法を選択する必要があります。本コラムでは、型打ち鍛造と鋳造の比較による両者の違いを中心にご紹介します。

 

1. 鋳造(ちゅうぞう)の製造方法

鋳造とは、金属を高温に熱して液体化した後、型に流し込み、冷やして固める加工方法です。いったん金属を液状にすることから、複雑な形状でも比較的容易に製造できる点が特徴です。

鋳造で使う型を「鋳型(いがた)」と呼び、鋳造で作られたもの「鋳物(いもの)」と言います。

2. 鋳造のメリット

鋳造は、金属を溶かし、固める加工方法であることから、形状の自由度が高く、複雑な形でも作りやすいメリットがあります。イメージとしては、鋳造品は「おにぎり」に似ています。温かいご飯を手で握ると米粒が一体化して「おにぎり」になるように、鋳造では、液体化した金属を型に流し込んで固めます。(液体を流し込んで冷やして固めるという点では「プリン」にも似ているかもしれません)

形状の自由度が高いというメリットの他には、短時間で大量生産が可能という点もメリットです。

また、鋳造方法にもよりますが、木型を用いた砂型鋳造(すながた ちゅうぞう)であれば、鍛造型より安価になりやすいです。そのため全体的なコストを抑えられる点もメリットと言えます。

3. 鋳造のデメリット

しかし、鋳造では、製品内部に気泡(ガス)ができやすいというデメリットがあります。その要因は、溶かした金属を型に流す際にガスが発生するためです。この気泡を巣(す)と呼び、部品の強度や機能に悪影響を及ぼすことがあります。また、巣(す)は流し込んだ金属が型の中を充満していない時にも発生します。

さらに、鋳造は部品形状によっては冷えるスピードが部位によって異なります。部品の表面側と中心部では、中心部の方が冷えるのが遅く、周りの鉄を引っ張ってしまう力(応力:おうりょく)がはたらきます。

そのため、冷却時に内部応力が残り、強度低下を引き起こすことがあります。

4. 鍛造(たんぞう)の製造方法

一方で、鍛造は、金属を固体のまま叩いて変形させる加工方法です。叩くことにより金属の組織を緻密にし、高い強度が得られます。鍛造は鋳造と違って、製品内部に気泡が発生することはありません。

イメージとしては、鍛造品は「おもち」に似ています。臼(うす)に蒸した米を入れ、杵(きね)で打つことで固体の餅にするように、金属を叩いて成形します。

【鋳造と鍛造のイメージ図】

鋳造(ちゅうぞう)

やわらかめ、

粒が粗い、

あまり粘らない

形(形状)が崩れやすい

鍛造(たんぞう)

硬め、

キメ細かい、

粘り強い

形(形状)は崩れにくい

5. 鍛造のメリット

鍛造で使用する材料は元々、鋳造で造られた材料になります。(※鋳造した後、ただちに鍛造で使用できる材料になるわけではありません。いくつもの工程を経て、鍛造で使用できる材料になります)鍛造では金属を叩くことから、金属内部の気泡を圧着し、結晶粒を細かくします。

叩くことで、内部が圧縮され、金属組織が緻密になり、強度が向上する点が鍛造の大きなメリットです。また、内部応力が残りにくい点もメリットです。

6. 鍛造のデメリット

一方でデメリットもあります。

金型を使った型打ち鍛造は大量生産が可能ですが、打撃に耐えられる高価な金属を用いる点、また、ある程度、金型の重量が必要なため数量によっては部品コストが高くなりやすい。そして、鋳造に比べて形状の自由度が限定的であることもデメリットです。

ここまで、型打ち鍛造を念頭に、鍛造と鋳造の違いについてご説明しました。

 


7. フリー鍛造でチタンの板材を製作できます!

鍛造には、型打ち鍛造以外に、フリー鍛造(自由鍛造)という方法もあります。フリー鍛造とは、金敷や汎用性の高い型を使って鍛造する加工方法です。

「金属の丸棒をフリー鍛造で板材にしたい」などのご要望をいただくことがあります。例えば、価格の高いチタンなどでこうしたご要望があります。一般的に入手しやすい鋼材を使用して任意の形にしたいというのがご依頼いただく理由です。

川上鉄工所では、「64チタン」(Ti-6Al-4V)において、フリー鍛造でのチタンの板材製作実績があります。

フリー鍛造(自由鍛造)では、汎用的な金型を使用することが一般的ですが、金属を叩いて必要な形に成形する点や、叩くことで強度を高める点などは上述の通りです。

チタンの板材を製作されたいなどの場合は以下の問合せフォームからお問合せをお願いいたします。

また、チタンについては、以下のページも合わせてご参照ください。

64チタン(Ti-6Al-4V)鍛造品を紹介します

チタンの特性とチタンの鍛造の特徴が知りたい。

 

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